エゾノハナシノブ(ミヤマハナシノブ) 蝦夷花忍
涼し気な花色のハナシノブ類は九州のハナシノブ(P.caeruleum ssp. kiushianum)や中部以北、北海道のエゾノハナシノブなどが有名です。その他にもヒダカハナシノブなど亜種、変種が見られますが、元来個体変異があるだけに分類には悩まされます。その上にイングリッシュガーデンなどで育てられる世界各地に分布する導入種のエゾノハナシノブの基本種(P.caeruleum)の花粉が日本の自生種に影響を与える、実生株は雑種になる恐れも出ているそうです。又、北岳ではニホンジカの食害にあい対策が追いつきません。絶滅危惧種として静岡、危急種として山梨、富山、準絶滅危惧種として北海道では扱われています。頭が痛い話です。エゾノハナシノブとミヤマハナシノブは別とされていましたが、『青森県植物目録』の著者細井幸兵衛氏の記録では、1939年白神山地の向白神岳(1243m)で見つかったハナシノブの一種の標本を東京大学教授で植物学者の原寛先生が、1971年に同定、その結果ヒダカハナシノブとは違うが、エゾノハナシノブとの見解を示されました。1976年同じ向白神岳のハナシノブをアマチュアの小林元男氏がミヤマハナシノブと発表され見解は2つに。結局は原先生の意見が。名前のことですがエゾノハナシノブ、エゾハナシノブと「ノ」の有無両者が使われています。1913年『北海道植物志料』にはyezo-no-hanashinobuで発表されました。ところがその和文摘要ではエゾハナシノブとあり、恐らく誰かが間違えたのでしょうが分類の世界での発表の先取権の関係でエゾノハナシノブが優先します。ややこしい見解や問題がありますが、エゾノハナシノブで山の涼しさを楽しんで下さい。
Polemonium caeruleum is a perennial widely distributed in northern hemisphere. P.caeruleum ssp.yezoense is native to north to the Chubu District of Honshu and Hokkaido in Japan. Usually this plant grows in the cool area and it produces cool feeling. It belongs to the same family (Polemoniaceae) as phlox and moss phlox.